週刊レポート
子どもも大人もイジメ許さず

   8月26日、「子どもの権利ってなに?市民の集い」に参加してきました。講演をされた横湯園子さん(心理臨床家・中央大学教授)のお話から、いろいろ考えさせられることがありました。

尊厳を取り戻す苦しい道のり

   先生は、ご自身が受け持ったさまざまなカウンセリングのケースを紹介しながら、「被害にあった児童への救済・回復」のための十分な支援制度(国連子どもの権利委員会が日本政府に不十分だと勧告)の必要性を話されました。
   具体的なカウンセリングの事例は非常にリアルで衝撃的、いじめの被害を受け、失った自分の尊厳を取り戻すことは、とても苦しい道のりなのだと知りました。

孤立化→無力化→透明化

   いじめのプロセスは三つの段階を経るのだそうです。
   第一段階は孤立化。いじめられる者がいかにいじめられるに値するかのPRがなされます。まだ周囲の大人にいじめが見えないのがこの段階ですが、被害者は、孤立無援だと実感させられます。
   第二段階は無力化。「いくら反撃してもムダ。大人に話すことは卑怯だ」といういじめる側の「美学」を教え込まされます。いじめは大人にも見えていますが、「いじめられる子にも問題がある」などの対応がいじめる側を加担し、無力化を加速させてしまいます。
   第三段階の透明化は、周囲の人も見てみぬふり、被害者は、別世界を生きているような感覚になり、自殺などに追い込まれていきます。

子どもも大人も手をつないで

   大人の適切な対応が求められています。オンブズパーソン制度の創設や、救済・治療の専門家を早急に増やすこと、「子どもの権利」の普及が急がれています。
   身近な大人たち自身が仕事や生活に追い詰められている実態も、根本的な解決が必要です。
   「ゆとり教育」の名で競争教育が推し進められ、「能力重視」でいくら働いても賃金が削られ、「高齢者は金持ち」という「いじめられるに値するPR」がなされる日本の政治。

   「弱いものいじめの政治は決して許さない」というみなさんの声を広げ、大人も子どもも「手をつなぐ」ことのすばらしさを実感できるよう運動を広げていきたい、と強く感じた講演でした。

(「こんにちは  小形かおりです」  06年09月03日付より)
(2006/08/25)

 横湯 園子(よこゆ そのこ)
中央大学文学部教授・DCI日本支部副代表 など
専門:臨床心理学

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