質問の一つ目は,昨年3月4日に開かれた経済公営企業委員会で地下鉄事業10カ年経営計画の素案について審議しましたが,今回いただいた成案を見ますと,火災対策事業について,素案では55億円だったものが,37億円に減額なっています。それから,効率化策としてワンマン運転化による累積効果額が12億円と素案で出ていたものが,これは19億円と増額になっています。この2点が大きく変わっているので,なぜ素案と違いが出たのか,その理由と検討の経緯などについてお聞きします。
二つ目は,コストダウンを徹底するという名前のもとで行われる人員削減についてです。
経営目標と五つの取り組みの中には,安全で安心して利用できる地下鉄ということを掲げていますが,現在,約1,000人いる交通局の地下鉄事業の職員が,10年間で497名減らされて約500人になる計画になっています。こういう人員の削減で,本当に安全で安心に利用できる地下鉄になるとお考えなのかどうか,伺います。
火災対策や地震対策,あるいはホームさくの設置などを進めていくという計画になっていますが,例えば大規模な災害が発生した際に,乗客を安全に避難,誘導することができるのか。私は,その点を非常に疑問に思っています。乗客へのサービス,あるいは,安全で安心して利用できる地下鉄という目標が,人員の削減によって実現できるとお考えかどうか,この点をお聞きします。
あわせて,効率化によって実際に人員が削減されますが,その方々のその後の職場の確保はどのようにされようとお考えなのか,伺います。
現在,地下鉄の職員の平均年齢が46.1歳です。そういう意味では,定年退職までまだ十数年あります。定年退職後の人を補充しないことによって人員削減するのが市の一般的なやり方ですが,そういうわけにはいかないと思います。その点,どのような方策をお持ちか,伺いたいと思います。
3点目は,増収対策です。
とりわけ乗車人員は,1995年の年間2億2,928万円余りをピークにして,その後は年々乗客が減少しています。そして,今回,敬老パスの制度が変えられ,一般会計から地下鉄に繰り入れられるお金が3億円,福祉乗車証を相殺すると2億4,000万円が減少になると言っていました。今回の計画では,かなり乗車人員をかたく見込んだのだという説明がありましたが,収益確保を目指す中で,乗客そのものをどのようにふやす計画を進めようとしているのか,その点をお示し願いたい。
まず,素案と比べて,今回の成案では火災対策事業費が55億円から37億円に減少して,一方で,ワンマン運転の実施の効果額が12億円から19億円に増加していることについて,経理的な立場で私の方から説明し,技術的なことは,また別に説明させていただきたいと思います。
まず,ご質問の火災対策事業費が55億円から37億円に減少している理由です。
経営計画の素案策定時点では,火災対策が具体的にどういうふうになっていくかについて,事前情報的にわかっている段階でつくってきました。このため,駅施設を火災対策の基準に適合させるためにどの程度の改良工事が必要か,結構不明な点が多かったのですが,何とか漏らさない形でカバーするという前提で見積もってきまして,そういった観点から,避難通路の設置が必要だと思われる駅を一たん全部抽出して概算工事費を計上してきました。その後,国とも,どういう施工だったらいいとか,どういった距離でどういったところに避難通路があればいいというようなことを精査して,議論を重ねてきましたが,そうした中で,避難通路を設置しなくても簡易な工事で済むものや,排煙能力の問題も徐々に明らかになって排煙設備を必要とする駅などの整理を進めたりして,その結果として当初の概算工事費が絞り込まれて減少しました。
一方で,ホームさく設置及びワンマン運転実施に伴う効果です。素案段階では,ホームさくなどの設備投資を行う事業費の財源として,どの程度の補助金が見込まれるか非常に不明な状態で,一般会計からの補助金は見込むことができず,ホームさくとワンマン抱き合わせで効果額をはじいていました。しかし,今回,国に提出した経営健全化計画や,10カ年経営計画の成案化の作業の中では,現在の国の補助制度からある程度の補助金額が見込まれるだろうということがだんだん明らかになり,最終的には補助採択されないと決定しませんが,事前の協議でほぼ間違いないだろうという部分は補助金を見込みました。そういうことで,その分を効果額に加えて算出を行ったために効果額がふえています。
火災対策基準に関連して,私から具体的にご説明します。
これまでの火災対策は,昭和50年の基準に基づいて満たしている,満たしていないということでした。その中で,避難通路については2点あり,一つは,ホームから地上まで異なる2方向の避難経路を設けなさいという条件に抵触しているのが9駅でした。それから,その避難通路の設置場所ですが,ホーム端から50メートル以内につけなさいという基準に抵触していたのが6駅で,合計15駅でした。
このたび,昨年12月27日に,国土交通省の方から新しい火災対策基準見直しの内容が通達の形で出てまいりまして,その中で,この辺について若干の変更がありました。
1点目は,ホームの2方向避難についてですが,北12条駅とか北18条駅は相対式ホームとなっていて,ここは,ホームが二つあり,駅の中でも両方のホームをつなぐ地下連絡通路を設けています。こうした駅は,上り線と下り線の真ん中に天井から壁を下げることによって,その連絡通路を一つの避難通路として認めるという考え方が出てきました。その結果,そうした連絡通路を持っている6駅については,そういう垂れ壁を措置することによって対策ができます。それから,残りのすすきの,中島公園,幌平橋と3駅は,もともとそういう連絡通路がありませんし,駅の性格上,お客さんがたくさんご利用されますので,こちらについては新たに2方向避難通路をつくろうと考えています。
もう1点は,ホーム端から50メートル以内に避難通路をつけなさいという基準がありましたが,この50メートルという基準がなくなりました。これは,ホームからお客さんが地上に出るまでの避難時間を計算し,ホームの煙の濃度が一定の基準以下であれば構わないという解釈になっています。
このように二つの基準が変わったことにより,当初見込んでいた55億円から37億円に減額することができました。
次に,業務を委託して果たして地下鉄の安全が確保できるのかというご質問と,委託等による人員削減をやって,削減された職員の処遇はどうなるのか,さらに,今後の乗車人員の増加対策をどうするかについて,一括してお答えします,
まず,お客様の安全確保については,交通局として最も基本的な責務ですので,計画に掲げている個々の取り組みはいずれも安全面の検証を重ねた上で計画しています。このうち,駅業務の委託化については,交通事業の健全な発展を図ることを目的として,交通局が全額出資して設立した財団法人札幌市交通事業振興公社を委託先として,平成12年度から駅業務の委託に取り組んできています。当該財団については,既に今年度までに受託している全49駅中27駅の業務委託により,お客様の安全確保はもとより,駅業務の円滑な執行に関して経験と実績を積んできています。今後は,平成20年度当初までに残る22駅についても,順次,委託することとしていますが,交通局としては,当該財団との連携をより一層強化して,引き続き安全確保に努めてまいります。
また,工場業務の一部外注化については,工場で行っている地下鉄車両の検査業務のうち,受託業者が保守整備等の現場作業を実際に担当し,交通局職員はそれらの作業を確認するための立ち会いを行いながら,検査確認等の管理業務を担当していきます。今後とも,交通局として,受託業者の育成,指導に当たりながら,検査確認をきちんと行い,的確な業務の履行と安全の担保に努めたいと考えています。
また,地下鉄のワンマン化運転については,ホームさく設置によって,まさしくお客様の安全・安心を十分に確保できるもので,これにより,一層の効率的な運行が可能になると考えています。いずれにしても,今後とも,交通局としての管理体制の充実や業者の育成,指導に努めながら,引き続き,お客様の安全を確保したいと考えています。
それから,乗車人員をどうやってふやしていくのかというご質問です。
10カ年経営計画では,基本的なスタンスとしては,収入を手かたく見る中で確実に経営の健全化の計画を組み立てていきたい,そして,それを実現していきたいと考えています。乗車人員及び乗車料収入については,近年の減少傾向を踏まえた上で見込んでいますが,事業の根幹である乗車人員をいかに増加させるかという取り組みは最も重要な事項であると考えています。
乗車人員増,利用促進に向けた取り組みとしては,ドニチカキップの発売を初め,旅行会社とのタイアップで官民合わせて乗車券を売っていきますが,これもかなりの実績が出てきています。それから,今後は沿線施設との連携などによる新たな需要の開拓,さらには,地域との連携,愛される地下鉄といったことも踏まえながら,利用されるお客様のさまざまなニーズをとらえる魅力的な定期券や乗車券の開発により,地下鉄を常に利用していただける固定利用者層の拡大にも今後は力を入れていきたいと考えています。
業務委託,ワンマン化をやって大規模な災害が起きた場合に安全を確保できるのかというご質問でした。
ワンマン運転を実施した場合には,当然,車両内で事故が起きた場合は運転手が対応することになります。駅間では,大体2分ぐらいが走行時間の一番長いところですが,この中では,緊急時には,何か起きたことがお客様と運転手の間で迅速に連絡がとれるように車両に複数個のブザーを設置します。現在は1車両に1カ所ブザーがついていて,ブザーを押すと,どこかで何かがあったことをお知らせするものですが,今後はこれを複数個にしていき,さらに,そのお客様がブザーを押して運転手もしくは指令所と直接会話ができるインターホン機能もつける形に改良することにしています。これにより,必要な情報が的確に運転指令や駅に伝達され,より確実な対応が可能になるのではないか。例えば,急病人が出ても,すぐに駅に連絡が行って対応できるような形になるだろうと思います。
今後は,先行してワンマン運転を実施している9事業者16路線の地下鉄も参考にして,お客様の安全確保に努めていきたいと考えています。
また,駅業務については,これまで半数以上の駅を財団法人札幌市交通事業振興公社に委託し,現在,着実に実績を積み上げてきています。また,必要な人員も適切に配置されています。また,駅職員の養成についても,当局の駅務員と全く同じ教習内容で実施しており,平成20年度の全面委託後も不測の事態に十分対応できるものと考えています。
大変申しわけありませんが,削減人員の処遇について答弁を漏らしていました。
今後,工場業務の外注化や駅業務の委託化,さらには,地下鉄駅へのホームさくの設置に伴うワンマン化によって職員配置がかなり効率化されていきます。これにより,各職場の業務に必要となる職員定数を上回る職員が生じます。こうした職員の処遇については,市内部での連携を十分に図りながら,基本的には市長部局への配置転換を進めたいと考えています。具体的には,今後の計画の進捗状況,市長部局における職員配置計画などを踏まえ,その都度,状況を精査しながら,適宜適切に職員の配置転換を進めたいと考えています。
確認しますが,削減後のその人の処遇や職場配置というのは,勤続年数とか給与の職位などが確保された上で,内部で新たな職場を確保していくことでよろしいのでしょうか。
そうです。
正規の職員を順次減らしていくと。最初は札幌管区で74名,17年度は大通管区で85名,18年度は札幌管区で83名,19年度は真駒内管区で74名,20年度が琴似管区で57名,駅業務を委託化するだけで373名の職員が5年間で減らされ,その後,ワンマン化によって92名減らされていく計画になっています。駅業務の委託先は交通事業振興公社ということですが,七十余名から始まって合計で373名を削減しての駅業務委託化は,そのまま交通事業振興公社が同じ人数確保していくことになっているのかどうか。要するに,振興公社は減った分と同じ人員を配置していくのかどうか,伺います。
18年度以降については,財団法人札幌交通事業振興公社における人数がまだ確定しておりませんので,17年度の人数についてお答えします。
17年度の大通管区駅の委託に伴い,交通局の職員は85名の削減を予定しています。一方,交通事業振興公社において増員となる駅関係の職員数は77名を予定しています。同数というわけにはいきませんが,これについては,平成16年度までの実績として,交通事業振興公社では,全49駅のうち27駅を確実に,安全の確保はもとより駅業務の円滑な執行を行って経験と実績を積んできてございます。平成17年度以降のさらなる駅業務の委託に際しても,受託者である財団法人としても,これまでに培ってきた経験あるいは交通局と連携した駅業務総体のフォローアップ体制などを踏まえて,民間業者として一層効率的な勤務体制を整えて行っていくこととしています。
その結果,トータルとして,今回の大通管区駅の委託においても,交通局としての削減人員よりも少ない人員での人数で従来どおりの業務執行が可能ということで人員確保をしています。
もう少し細かく話すと,今まで本局で100人だったから財団でも100人でいいのかということです。財団は,民営の運営形態を十分参考にしながら対応していく必要があるということで,視察をしました。その中で,一つは,勤務時間の持たせ方の問題があります。駅の業務の実態を考えれば,柔軟性あるいは変形労働時間制といった意味で,24時間勤務体制と休みを組み合わせることによって,実質的な仕事の安全性の担保を確保しつつ,減った人数でも十分やっていけるというのが一番大きな要素です。
24時間体制だとか変形労働制というのは,働く者にとっては非常にきついと思うのです。そういう意味では,過重労働で本当に大変だということが予想され,人員が減らされることにより,結果的に乗客のサービスが低下する,あるいは,安全が十分に確保できないことになるのではないかと危惧しています。
ぜひ,その点を踏まえて今後進めていただきたいとつけ加えて,質問を終わります。